オーストラリアの介護者支援:Carer Payment と Carer Allowance の違いと申請資格

Miwa

はじめに:「ケアラー」とは?

オーストラリアにおける「ケアラー (Carer)」とは、公的なサービスではなく、家族や友人といったインフォーマル(非公式)な立場で、高齢者、障害者、慢性疾患を持つ人、精神疾患のある人など、日常生活の維持に困難を抱える人々に継続的な介護や支援(support, assistance)を提供する人々のことを指します。

支援は継続的(少なくとも6ヶ月間)である必要があり、職業的介護者や実習生は含まれません。

2つの主要な手当:Payment と Allowance の違い

オーストラリア政府がケアラーに提供する主な手当は2種類あり、それぞれ目的と受給資格が大きく異なります。

手当の種類Carer Payment (CP)Carer Allowance (CA)
目的介護のためにフルタイムで働くことが難しい人への収入補助(所得代替)介護の追加的な費用を補うための補助金(収入に関係なく支給)
支給頻度2週間ごと2週間ごと
所得審査あり (資産・収入テストあり)なし (所得審査なし)
金額年齢や状況によるが、他の年金と同様の最大額(比較的高額定額(2024年時点で約 $144.80 / 2週間)
ステータス年金に分類される補助金に分類される

Carer Payment と Carer Allowance の疑問を解消

1. 誰が対象?永住権は必須?

区分資格要件永住権について
ケアラー (申請者)永住権(PR) または オーストラリア国民 であることが原則必須。
– 介護を提供している。
– 介護される人の医療状態や障害がServices Australiaの基準を満たしている。
原則、永住権保持者(または市民権保持者)でなければ受給資格はありません。他の社会保障給付と同様に、新規居住者には通常待機期間が適用されます。
介護される人– 永続的な障害または重度の病状を抱えている。
– ケアラーから日常的なサポートが必要である。
介護される人も、通常、オーストラリアの居住者である必要があります。

2. 働いていてももらえる?

手当の種類によって、働ける時間に厳格な制限があります。

手当の種類働くことの制限収入制限(目安)
Carer Payment (CP)介護と両立できる範囲で、4週間あたり最大100時間までの就労が許可されています。CPは所得審査があるため、あなたやパートナーの収入が一定額を超えると支給額が減額されます。
Carer Allowance (CA)CAは所得審査がないため、働く時間の制限はありませんCAは補助金なので、収入がいくらあっても支給されます。
  • CPの例外ルール:もし4週間で100時間を超えて働いた場合、備蓄しておいた「休息日 (respite days)」を使用することで資格を維持できる可能性があります。

3. 介護(ケア)の具体的な基準は?

  • Carer Payment (CP) の場合
    • 介護に専念するため、フルタイムの就労が困難であると見なされます。
    • 介護される人の障害レベルや医療状態が重度である必要があります。
  • Carer Allowance (CA) の場合
    • ケアラーは、介護される人に対して週に少なくとも20時間の追加的な日常支援を提供している必要があります。
    • この支援は、障害や病状による特別なニーズに対応するものです。

4. もらえる可能性を上げるには?

受給可能性を最大化するために重要なポイントは以下の2点です。

  1. 医師・専門家による診断書
    • 介護される人の状態を証明する詳細な医療報告書 (Medical Report) を提出することが必須です。Services Australiaの専用フォームを医師に記入してもらう必要があります。
  2. 適切な手当への申請
    • フルタイムで働いているが、介護に費用がかかる場合は、所得審査のない Carer Allowance のみを申請する。
    • 介護のために仕事を辞めた、または大幅に減らした場合は、Carer Payment と Carer Allowance の両方を申請する。

Medical Reportはどう手配する?

申請プロセスにおいて、介護される人の状態を公的に証明するための専門家のレポートフォームの提出が必須となります。

1. フォームの入手先

  • Services Australia (センターリンク) のウェブサイト
    • 申請を開始すると、専用のフォーム(例:Carer Payment/Carer Allowance Medical Report)をダウンロードできるようになります。
    • オンライン申請時に、フォームの提出が必要であることを指示されます。

2. フォームを記入してもらう専門家

このフォームは、介護される人の病状や障害を熟知している医療専門家に記入してもらう必要があります。

介護される人の状態フォームの記入を依頼する専門家
一般的な病状・障害主治医 (GP / General Practitioner) または 専門医 (Specialist)
精神的な病状・障害精神科医 (Psychiatrist)臨床心理士 (Clinical Psychologist)
視覚・聴覚などの感覚障害眼科医 (Ophthalmologist)耳鼻咽喉科医 (ENT) など、関連分野の専門医
  • 重要なポイント
    • フォームには、病名、発症時期、治療計画、そして日常生活で具体的にどのようなサポートが必要かという詳細を記入する欄があります。
    • ケアラー(あなた)が提供している介護内容と、医療専門家が証明する状態が一致していることが、承認の鍵となります。

3. 費用について

  • これらの行政手続き用の書類作成は、通常の診察に含まれず、医師から別途費用を請求されることが一般的です。事前にクリニックに確認しておきましょう。
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Miwa
Speech Pathologist
オーストラリア在住、スピーチパソロジスト(言語聴覚士)で1児の母、Miwaです! このブログでは、 海外で育つ子どものことばの育ち バイリンガル環境での発達のサポート方法 家庭でできる遊びや関わり方 AACの導入と活用のヒント を、専門家としての経験と海外生活での実体験を交えてお届けします。 言葉の発達やバイリンガル育児に不安を感じる方が、安心してお子さんと向き合えるような情報とサポートを発信していきます。
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