こんにちは。オーストラリアで現役スピーチパソロジスト(言語聴覚士)として働くMiwaです。
海外の療育現場で多くの親子を支援してきた立場から、「目が合わない=ASDでは?」と不安になる保護者の方に向けて、まず知ってほしい重要なことをまとめます。
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「目が合わない = ASD(自閉スペクトラム症)」ではありません
目が合いにくいことは確かにASDの一つの特徴ではありますが、これだけでASDだと判断することは不可能です。
目が合わない理由は他にも多くあります。
目が合いにくい理由の例:
- 人見知り・恥ずかしがりや
- 注意が聞くこと・遊びに向きやすい
- 感覚過敏があり視線を避けやすい
- 性格的にじっと見ないタイプ
- 年齢的にまだ発達段階として自然な範囲
海外の療育現場でも、視線の様子だけを根拠にASD評価を行うことはありません。
ASDが疑われるときに観察されやすいその他のサイン
目が合いにくい+以下の複数が重なる場合、専門機関での相談を検討します。
よく見られる特徴
- 名前を呼んでも気づかない・反応が弱い
- 指さし(見る・示す・見せる)が少ない
- やりとり遊びが短い、続きにくい
- 言葉の遅れ、言葉の使い方に偏り
- 興味が限定的、同じ行動の繰り返し
- 喜びの共有や表情の反応が少ない
視線だけでは判断できないため、いくつかのサインを総合して観察することが大切です。

今できる家庭での観察・関わり方
医療的な診断ではなく、保護者としてのサポートの範囲ですが以下の方法があります。
海外療育(Early Intervention)の最先端では、遊びの中でのやりとり作りが最重要視されています。
◎ 視線が合いやすい状況をつくる
- 顔の高さを合わせる
- 興味のあるおもちゃを顔の近くに持ってくる
- 過度に「見て!」とプレッシャーをかけない
◎ 共同注意を育てる遊び
- いないいないばあ
- 指さして「見て!○○だね」と声かけ
- おもちゃのやりとり(渡す・受け取る)
神経多様性の視点:アイコンタクトだけを目的にした指導は行いません
海外療育(オーストラリア)では、「目を見ることを強制する」セラピーは推奨されていません。
Neurodiversity-affirming practice(神経多様性を尊重する療育)では、アイコンタクトを“できるようにさせる”のではなく、安心して関係を築ける方法を一緒に探すことを大切にします。
その理由
- 目を見ることが苦痛な子もいる
- 視線が合わなくても、コミュニケーションは成立する
- 無理に目を見ると、ストレスで発語や遊びが減る
- コミュニケーションの本質は「やりとり」「意図」「楽しさ」
現代の国際的な療育スタンダード
- アイコンタクトをゴールにしない
- 代わりに他者との関わりが生まれる行動に注目する
- 声を出す
- 指さす
- 興味のあるものを見せる
- 親に近づく
- 手を引いて意思を伝える
- 子どものやり方を尊重し、その子にとって自然なコミュニケーションを広げる
目を見ることが苦手でも大丈夫
海外では、アイコンタクトのスタイルは個性の一つとして扱われます。
「見ない=問題」ではなく、子どもが安心してやりとりできる方法を育てることが中心です。
スピーチセラピーで大切にしていること
現役スピーチセラピストとして私は、
- “視線を合わせる”はゴールにしない
- “つながりのサイン”を一緒に増やす
- 子どもの得意な形でコミュニケーションを広げる
というアプローチを徹底します。
この方法は、
英語でも日本語でも、バイリンガル子育てでも共通して効果的です。
ABOUT ME

オーストラリア在住、スピーチパソロジスト(言語聴覚士)で1児の母、Miwaです!
このブログでは、
海外で育つ子どものことばの育ち
バイリンガル環境での発達のサポート方法
家庭でできる遊びや関わり方
AACの導入と活用のヒント
を、専門家としての経験と海外生活での実体験を交えてお届けします。 言葉の発達やバイリンガル育児に不安を感じる方が、安心してお子さんと向き合えるような情報とサポートを発信していきます。