🇦🇺 知っておきたい!オーストラリアのファミリータックスベネフィット(FTB)完全ガイド

はじめに:FTBとは?
ファミリータックスベネフィット (FTB) は、オーストラリア政府が子育てにかかる費用を援助するために、所得に応じて支給する手当です。大きく分けて Part A と Part B の2種類があります。
FTBの疑問:永住権がなくてももらえる?
永住権なしでも受給できる可能性はありますが、「居住要件」が重要です。
FTBを受け取るには、申請者と子どもが「居住要件 (Residence Rules)」を満たす必要があります。
- 基本的な要件:
- 通常、オーストラリア国民 (Australian Citizen) であるか、永住権保持者 (Permanent Resident) であることが必要です。
- ただし、一部の暫定ビザ保持者でも資格を得られる場合があります。(例:パートナービザ申請中など、特定の保護ビザ保持者)
- 「新規到着居住者」の待機期間:
- 新しくオーストラリアに来た居住者(Newly Arrived Residents)は、通常、この手当を受け取るまでに1年間の待機期間が設けられています(一部例外あり)。
結論:永住権がなくても、特定のビザ(配偶者ビザなど)で居住要件を満たし、待機期間をクリアすれば受給できる可能性がありますが、ご自身のビザが対象か Services Australia (旧 Centrelink) に確認するのが確実です。
FTBの疑問:いつ申請する?
子どもが生まれた時、またはオーストラリアに到着した時が申請のタイミングです。
FTBは、子どもを養育し始めた時点、またはオーストラリアに居住を開始した時点から申請が可能です。
- 申請窓口:Services Australia(センターリンク)
- 申請時期:
- 子どもが生まれた場合:出生後、できるだけ早く。
- 海外から移住した場合:居住要件を満たしたタイミング、または満たしそうなタイミングで申請を開始できます。
- 会計年度末(タックスリターン後):FTBの実際の支給額は家族の年間調整課税所得(Adjusted Taxable Income: ATI)に基づいて決定されます。そのため、年度末にタックスリターンを完了することで、支給漏れや過払い金の精算が行われます。
FTBの疑問:いくらもらえる?
家族の収入と子どもの年齢によって大きく変動します。
FTBは主に Part A と Part B から成り立っており、支給額は家族の年間収入によって異なります。
| 種類 | 対象者 | 支給額 (2025-26年度目安) | 支給基準 |
| Part A | ほとんどの世帯 | 最大:子ども1人あたり$227.36 / 2週間(0-12歳)など | 家族全体の収入に基づき、段階的に減額されます。 |
| Part B | 片親世帯または共稼ぎでも収入の低い世帯 | 最大:$193.34 / 2週間(末子0-4歳)など | 世帯収入と稼ぎの少ない方の親の収入に基づきます。 |
- ポイント:
- **所得審査(Income Test)**があるため、収入が多い世帯は受給額が減る、あるいはゼロになる可能性があります。
- この他に、年間最大$800の**サプリメント(FTB Part A Supplement)**が、家族収入が一定額($80,000など)以下の場合に、タックスリターン後に一括で支給されることがあります。
正確な金額を知るには:Services Australiaのウェブサイトにある「Payment and Service Finder」で、ご自身の世帯の具体的な所得を入力して試算することをお勧めします。
FTBの疑問:毎年申請しないとダメ?
毎年「見込み収入」の申告と「タックスリターン」の完了が必要です。
毎年一から申請書を提出する必要はありませんが、継続して受給するために重要な手続きが2つあります。
- 年間収入の見積もり (Estimate of Annual Income) の更新
- 毎年7月1日から始まる新しい会計年度に向けて、その年の家族の見込み所得をServices Australiaに申告する必要があります。これを基に隔週の暫定支給額が計算されます。
- タックスリターンの完了
- 会計年度が終了したら、最終的な所得を確定させるためにタックスリターンを完了する必要があります。
- タックスリターンにより、Services Australiaは前年度のFTBの最終調整(精算)を行い、過不足金の請求や支払い(サプリメントを含む)が行われます。
重要:所得の見積もりが低すぎると、後で過払い金(Debt)として一括返済を求められる可能性があるため、少し多めに見積もっておくのが賢明です。
FTBの疑問:シングルペアレントの場合は分割でもらえる?
シングルペアレントは、FTB Part A と Part B の両方でより優遇されます。
- FTB Part A:
- 基本的に両親がいる世帯と同じ所得基準ですが、シングルペアレントに対する優遇や追加のサポートがある場合があります。
- FTB Part B:
- Part B は、シングルペアレント(片親)が最も受給しやすい手当です。末子の年齢や親の所得に基づいて支給され、家族収入が一定額を超えるまで満額に近い額が支給されます。
**「分割でもらえるか」についてですが、これは離婚や別居後の子どもの養育費の分担(Shared Care)**に関わる話になります。
- 養育費を分担している場合:子どもが両親それぞれの元で過ごす日数に応じて、FTB Part A の受給額が両親間で日割りで分割されます。
- 計算の基準:子どもがそれぞれの親の元で最低35%以上過ごしている場合、分割支給の対象となります。
結論:シングルペアレントはFTB Part Bの受給資格が強く、Part Aは子どもとの過ごす日数に応じて養育費分担者間で「分割」される可能性があります。
まとめと次のステップ
FTBはオーストラリアでの子育てを支える重要な制度ですが、ビザの種類、家族の収入、子どものケアの分担状況によって受け取り方が大きく変わります。
まずは Services Australia のウェブサイトで、ご自身の状況のシミュレーションを行ってみることを強くおすすめします!


