目が合わない=ASD(自閉スペクトラム症)?ではない

Miwa

こんにちは。オーストラリアで現役スピーチパソロジスト(言語聴覚士)として働くMiwaです。
海外の療育現場で多くの親子を支援してきた立場から、「目が合わない=ASDでは?」と不安になる保護者の方に向けて、まず知ってほしい重要なことをまとめます。

Audibleプレミアムプラン30日間無料体験

「目が合わない = ASD(自閉スペクトラム症)」ではありません

目が合いにくいことは確かにASDの一つの特徴ではありますが、これだけでASDだと判断することは不可能です。

目が合わない理由は他にも多くあります。

目が合いにくい理由の例:

  • 人見知り・恥ずかしがりや
  • 注意が聞くこと・遊びに向きやすい
  • 感覚過敏があり視線を避けやすい
  • 性格的にじっと見ないタイプ
  • 年齢的にまだ発達段階として自然な範囲

海外の療育現場でも、視線の様子だけを根拠にASD評価を行うことはありません。

ASDが疑われるときに観察されやすいその他のサイン

目が合いにくい+以下の複数が重なる場合、専門機関での相談を検討します。

よく見られる特徴

  • 名前を呼んでも気づかない・反応が弱い
  • 指さし(見る・示す・見せる)が少ない
  • やりとり遊びが短い、続きにくい
  • 言葉の遅れ、言葉の使い方に偏り
  • 興味が限定的、同じ行動の繰り返し
  • 喜びの共有や表情の反応が少ない

視線だけでは判断できないため、いくつかのサインを総合して観察することが大切です。

今できる家庭での観察・関わり方

医療的な診断ではなく、保護者としてのサポートの範囲ですが以下の方法があります。
海外療育(Early Intervention)の最先端では、遊びの中でのやりとり作りが最重要視されています。

◎ 視線が合いやすい状況をつくる

  • 顔の高さを合わせる
  • 興味のあるおもちゃを顔の近くに持ってくる
  • 過度に「見て!」とプレッシャーをかけない

◎ 共同注意を育てる遊び

  • いないいないばあ
  • 指さして「見て!○○だね」と声かけ
  • おもちゃのやりとり(渡す・受け取る)

神経多様性の視点:アイコンタクトだけを目的にした指導は行いません

海外療育(オーストラリア)では、「目を見ることを強制する」セラピーは推奨されていません。
Neurodiversity-affirming practice(神経多様性を尊重する療育)では、アイコンタクトを“できるようにさせる”のではなく、安心して関係を築ける方法を一緒に探すことを大切にします。

その理由

  • 目を見ることが苦痛な子もいる
  • 視線が合わなくても、コミュニケーションは成立する
  • 無理に目を見ると、ストレスで発語や遊びが減る
  • コミュニケーションの本質は「やりとり」「意図」「楽しさ」

現代の国際的な療育スタンダード

  • アイコンタクトをゴールにしない
  • 代わりに他者との関わりが生まれる行動に注目する
    • 声を出す
    • 指さす
    • 興味のあるものを見せる
    • 親に近づく
    • 手を引いて意思を伝える
  • 子どものやり方を尊重し、その子にとって自然なコミュニケーションを広げる

目を見ることが苦手でも大丈夫

海外では、アイコンタクトのスタイルは個性の一つとして扱われます。
「見ない=問題」ではなく、子どもが安心してやりとりできる方法を育てることが中心です。

スピーチセラピーで大切にしていること

現役スピーチセラピストとして私は、

  • “視線を合わせる”はゴールにしない
  • “つながりのサイン”を一緒に増やす
  • 子どもの得意な形でコミュニケーションを広げる
    というアプローチを徹底します。

この方法は、
英語でも日本語でも、バイリンガル子育てでも共通して効果的です。

ABOUT ME
Miwa
Miwa
Speech Pathologist
オーストラリア在住、スピーチパソロジスト(言語聴覚士)で1児の母、Miwaです! このブログでは、 海外で育つ子どものことばの育ち バイリンガル環境での発達のサポート方法 家庭でできる遊びや関わり方 AACの導入と活用のヒント を、専門家としての経験と海外生活での実体験を交えてお届けします。 言葉の発達やバイリンガル育児に不安を感じる方が、安心してお子さんと向き合えるような情報とサポートを発信していきます。
記事URLをコピーしました